縣さん縣 秀彦 [ あがた ひでひこ ]
 
国立天文台天文情報センター普及室 室長
助教授
学位/教育学博士(東京学芸大)。
専門分野/天文教育。
現在の研究課題/研究機関が初等中等教育や生涯学習へどのような関わりを持ち得るのか、また、望ましい広報普及のあり方とは何かについての研究など。
所属学会/日本天文学会、日本惑星科学会、日本教育工学会、日本科学教育学会、日本理科教育学会、日本地学教育学会ほか。
その他社会活動等/科学技術館「ユニバース」進行役、日本ハンズオンユニバース協会副会長、NHK「高校講座」講師、アストロノミー・パブ店主(マスター?)。

縣さん清田愛未[きよた まなみ]

シンガーソングコンポーザー  
自然豊かな南アルプスや八ヶ岳に見守られ、幼少より音楽を親しみながら育つ。中学校ではトランペットや和太鼓、高校ではクラシックの声楽を学ぶ。高校卒業後、音楽大学で作曲法を学ぶ。在学中より演劇やゲーム音楽の作曲やライブ活動などを行う。2003年6月オリジナルアルバム「月杜の祭」を発売しインディーズデビュー。2004年人気ゲームファイナルファンタジーのソングCD「まほろば」のヴォーカルと作詞を務める。2005年10月11月、NHKみんなのうた「千の花千の空」を歌い、CD&DVDをエイベックスより発売。年間30本を越えるセルフプロデュースライブや、自然写真家牛山俊男氏の写真とコラボライブを展開。星の世界を独自の世界で表現、各地で好評を得る。その他、作曲編曲、民放ドラマの劇判に楽器での参加など、活動は多岐に渡る。
清田愛未 オフィシャルWEBSITE http://www.manamikiyota.com/

今日のホスト、ゲストのご紹介

石川:皆さまこんばんは。もう飲み物はお手元にお持ちですか?本日の司会を努めさせていただきます、国立天文台の石川と申します。いつも司会を務める縣がどうしてここにいないかと言いますと、このアストロノミーパブのスタート以来、1年数ヶ月を経て初めて、今日は向こう側の、出演者の席に座ることになったからです!
さて、このアストロノミー・パブ。お酒を飲みながら楽しく過ごしていただくわけですが、トークの後のフリータイムには1つだけルールがあります。講師を5分以上、1人で拘束しないこと。大切なルールですので、ぜひ、守ってくださいね。
それでは今日の講演者ですが、皆さんおなじみの、国立天文台の縣秀彦と、シンガーソングコンポーザーの清田愛未さんをお招きしております。今日は、清田さんの歌と4次元デジタル宇宙シアターとのコラボレーションも予定しています。では、縣さん、清田さん。よろしくお願いします。

[縣さん、清田さん入場]

縣:みなさんどうも・・・初めまして。(笑)

日頃は店主をしている私ですが、今日は初めてここに座らせていただきます。よろしいでしょうか?(笑)
今日は清田愛未さんをお招きしています。タイトルは・・・「音楽と天文学はなぜ人を癒せるのか?宇宙と音楽のコラボレーション−約束の星−」後でまた詳しい話を清田さんとしようと思っていますが、清田さんは音楽家、私は一応、国立天文台で科学や天文学に携わっているわけです。私の感覚では、音楽好きな人って天文好きな人がとっても多いです。今日は、清田さんと私で、どんなコラボレーションができるか、とても楽しみにしています。まずは自己紹介がわりに、清田さんに1曲歌っていただこうと思います。
曲のタイトルは・・・「月下美人」清田さんのようですね〜。どういう歌ですか?

清田:皆さん、「月下美人」の花、ご存知ですか?こういう花なんですけど・・・夜のうちに咲いて朝には萎んでしまうという、可憐な、薄命な花です。月の光を浴びて咲いて、散ってしまいます。この曲は最初にメロディーをいただいて、歌詞をつけてね、といわれたときに、繊細なメロディーで壊れてしまいそうな感じがしたので、月下美人についての詩をつけました。

縣:さて、その歌に合うかどうかはわからないのですが、私の方で、儚い、と言っても時間軸としては長いのですが、変化する宇宙の様々な情景を用意しました。画面で見ながら、清田さんの曲を聴いていただきたいと思います。それでは、清田さん。お願いします。  

〔月下美人の演奏〕

音楽と宇宙のコラボレーション
 

 
月下美人の演奏模様

二人は「田舎者」?

縣:ありがとうございました。少し、僕もおちついてきました。(笑)
今、清田さんの曲を聞いていただきましたが、清田さんは、曲のジャンルわけで言うとどういう方向をめざしていらっしゃるのですか?

清田:ジャンルというか、流行の言葉でいうと「癒し系」と言われることがありますね。

縣:もともと、歌手や作曲をしようと思ったのはどうしてですか?

清田:小学校の卒業文集で、「将来の夢」を書くところがあって、みんな、野球選手とか書くところに、ゲームの音楽を作る人、「ゲームミュージックコンボーザー」って、横文字で書いてたんですね。

縣:あ、その頃からもう、今の肩書きを使っていらしたんですね。僕も小学校の卒業文集に天文学者になりたいって書いていたのです。30数年経って忘れていましたけど、久しぶりに小学校の担任の先生に会ったときに言われて。何か、共通点がありそうですね!(笑)・・・今日は二人の共通点を探す旅になるかもしれません。

清田さんから、先ほど、お写真をお借りしたのですが・・・これはどちらですか?

清田:これは私の地元です。山梨県長坂・・・清里から少し行ったというところなんですが、蕪(かぶら)という20軒くらいの小さな集落で、牛がいて、酪農などが盛んな地域です。

縣:こういう自然に育まれたところで、清田さんが育ったので、音楽も自然派というか・・・聴いていて自然ですよね・・・ナチュラルで。

僕、実は写真を今日、送ってもらったんです。ホントに3時ごろ。で、見てビックリしたんですけど・・・もう1枚お見せしましょう、次の写真。きれいなところでしょ?きれいなところでびっくりしたんじゃなくて、僕の田舎にそっくりなんです。「えぇ〜?清田さんって人、いたっけ?」と思うくらい似ています。今日の二人の共通点は、まず、どうやら田舎者だ、ということでしょうか。(笑)

こういう自然の中で育って、片方は音楽家になり、片方は天文学を志したということになります。でもこのくらいはまあまあ、自然の豊かなところではよくある風景かもしれませんが・・・次の写真。これは、どういう写真ですか?

清田:これは、冬に雪だるまを作っているところで・・・左が私で、右が1つ違いの妹です。雪が降ったので家の庭でつくっているところなんです。3歳か4歳くらいのときですが・・・。

縣:これがまた、私の家の庭先の風景と全く同じなんですよね。誇張して言っているみたいに聞こえるかもしれないので、一度、見に来てもらいたいくらいですが(笑)、そうも行かないので、写真でお見せしましょう。ここが僕が生まれ育ったところです。

清田さんのところと較べると、だいぶ山のほうですね。長野県の北安曇郡、八坂村。標高は1200メートルくらいあります。清田さんのところはどのくらいですか?

清田:ウチは標高800メートルくらいです。負けた・・・なんか悔しい。(笑)

縣:清田さんのところは20軒って言ってましたけど、僕のところは家が15軒です。でも、市町村合併で村ではなくなって、市になっちゃったんです。僕は、村民であることを誇りに思ってきたんですけれどね。

清田:ウチもです〜市民、って言われてもね・・・。


清田さんの地元、山梨県長坂

清田さんの地元の風景2

清田さんの故郷にて雪だるまを作る風景

縣さんの故郷、長野県

季節のない都会

縣:清田さんの音楽はとても自然から影響を受けていると思うんですけど、星空や宇宙との出会いって、どんなところですか?

清田:先ほどご紹介したように山の上なので星がきれいに見えるところで・・・あ、田舎出身の方っていらっしゃいますか?(笑) あ、けっこういる?

縣:今日は都会の方が多いようですね・・・(清田さんの実家近くの風景を指して)ウラヤマシイでしょ?(笑)

清田:普通に夜、外に出ると星が見えていました。小学校の時に、「天文学を学ぼう」というコースが清里であって、参加したんですけど、覚えているのは、「かみのけ座」が枝毛みたいになっていることとか・・・。

縣:「かみのけ座」って確かに、見たことない方もいらっしゃるかもしれないけど、あんまり結べないよね・・・星がぼろぼろ、ぼろぼろって感じになってて・・・。

清田:星はとても好きです。都会に出てきて、空を見たときにとてもショックでした。これじゃ、どっちが東かわからないし、オリオンの位置とかで時間がわかったりしますけど、それもわからないし・・・。何て怖いところに来たんだろうと思いました。

縣:音楽家になって、プロになられて3年くらいですよね?僕もそうでしたけど、都会に出てきて季節がないな、とか思ったでしょうね。

清田:そうですね。一日歩いていて、土を一度も踏まない日があるじゃないですか。それがすごくイヤですね。

縣:僕は、都会に出てきて一番最初に驚いたのは、ゴキブリ。ゴキブリが空を飛んでいるのに仰天しました。それから、いつまで経っても冬が来ない。紅葉が遅いな、遅いな、と思っていて、11月になって、12月になって、そろそろ冬かな・・・と思っていたら、春になっちゃったんですよね。(笑)

清田:音楽を作るようになって、歌で季節感を感じたいと思いますね。自然から学ぶものって、人間が生きるために必要なもので、そういうものを忘れたくなくて。

縣:清田さんが歌っているような自然に関わりのある音楽や、天文学に一般の人が関心を持ってくれる理由というのは、自分のふるさとの懐かしさみたいなものにつながっていると思うんです。僕は宇宙を見ると懐かしさを感じることがありますが、そういうことってないですか?


田舎出身の方いらっしゃいますか〜?

 



ふるさとの星空 VS ハワイの星空

僕が今日、ぜひお話したいな、と思うのは、田舎の星空のことです。僕はこの田舎で小学校時代からきれいな星空を見て育ちました。今でこそ、そう思いますが、当時は田舎で恥ずかしいなとか、こんな狭いところに住んでいていいのか、とか思いましたけれどね。

この写真は、皆さんご存知だと思いますが、すばる望遠鏡です。ハワイ島のマウナケアという4200メートルの山の上にあります。8メートルの1枚もののレンズを持っていて、すごく能力が高い望遠鏡なので、僕らは、宇宙にあるハッブル望遠鏡がライバルだと言っています。僕は天文台に来て8年目になりますが、すばる望遠鏡を実際に覗いて観察したことがあるのが自慢です。この写真・・・これは、痩せているのでわからないかもしれませんが(笑)、1999年の僕です。・・・ダイエットしなくちゃって思いますね。(笑)望遠鏡って覗いて観測するというイメージがありますが、このくらいの大きな望遠鏡になると、覗くところって普通はないんです。この時は、すばる望遠鏡の開所式の時で、調整用に覗くところが付いていたのですが、すばるには今は、カメラや分光器などが付いていて、人が覗くところは外してしまってもうありません。
宇宙では遠くを見れば見るほど、過去を見ていることになります。僕はこの時、さっきも出ていたようないくつかの天体を見たわけですが、例えば、3000万光年離れた天体を見た時には、その光は、3000万年宇宙を旅して、僕の目の網膜に飛び込んでくるわけです。そういう貴重な体験をして、すごく感動しました。

すばる望遠鏡がある4200メートルの山の上だと、天の川なんかがすごくきれいに見えるだろうと、普通、思いますよね?すばる望遠鏡まで行った事のある方いらっしゃいます?(参加者の中から2人手が挙がる)あ、すごい。2人もいらっしゃる。すごいなぁ。
たしかにきれいに星が見えるんだけど、でも、僕が田舎で見た天の川の方がよっぽどきれいなんです。(笑)今日はそのことが言いたかったんです。すばる望遠鏡がある山の上で、星空を見上げる機会は何度もありました。よく晴れているし、きれいに見えるんですけど、「あれ?田舎で見た星の方が、きれいだったぞ・・・」って思いました。それはなぜでしょう?

参加者:酸素不足だから?(笑)

縣:ここの参加者の皆さんのレベルの高さがわかるでしょ?この質問だけで複数の方から「酸素不足」って(笑)・・・。そう、1つの理由は酸素不足です。ヒロの町から1時間くらいで中間地点の2800メートルのところにオニヅカビジターセンターというところがあります。そこで、必ず一度、休まなくてはならない。なぜかと言うと、そのまま上がってしまうと、例えばポテトチップスの袋とか、弾けてしまいます。ペットボトルもパンパンになります。体にもそれだけ負担がかかっているので、一度休んでから、先に上がるのですが、酸素が平地の6割しかないので、例えば簡単な足し算とかも間違えてしまうくらいです。頭を使うって、実はすごく酸素を使うことなんだって、行ってみるとよくわかりますよ。それから、ちょっとでも走ろうとしてもムリ。すぐに倒れてします。10人に1人くらいは、気分が悪くなります。それくらい過酷なところなんです。だから、目にも酸素が行かないので、あまり良く見えない。でも、それだけではないのではないかと僕は思っています。・・・あ、早く次の曲へ行け?(笑)ホントだ、時間がだいぶ過ぎてますね。(笑)

この話を最後までしてしまいましょう。ほかにも色々理由があると思います。
さっき見たすばるの山頂って、何にもないでしょ?僕らは宇宙を見るときには・・・研究者としての視点は違うかもしれないけれど、一般の人の視点としては常に、地上にあるものと宇宙を見比べていることが多い。さっき、清田さんの曲にあわせた写真もそうです。実は、天文台のホームぺージにある写真の中から、清田さんに天体の写真を選んでもらったんですが、清田さんが選んだ3枚の写真は実は、どれも地上の風景が入っている写真でした。研究者としては、その天体そのものが面白いでしょうが、普通の人は地上と宇宙を比べてみている。だから、僕もすばるで、地上のものが殺風景な中での星空と、自分の生きている場所での星空の違いがあって、田舎の星空の方が美しいと感じたのだろうと、自分では思っています。これを証明できないのが残念なんですけど・・・この想いはいつか、証明できるかもしれません。


ハワイのすばる望遠鏡1

「すばる」で眼視観測中の縣さん1999年9月15日


ハワイのすばる望遠鏡2

音楽と宇宙のコラボレイト

さて、僕が話をしすぎると、せっかく来ていただいた清田さんの歌が聴けなくなってしまうので、次に、2曲続けて歌ってもらいましょう。まず、レイロゥ・・・どういう曲ですか?

清田:「レイロゥ」は、辞書で引くと「玲瓏」と言って、宝石と宝石がぶつかりあって出す音のことだそうです。きっときれいな音なんだろうな、と想像して、それを声で表現したらどうなるかなと思って作りました。私の声が9つ入っていて、生で歌う私と10の声が重なるようになっています。私は、宇宙の写真と音楽のコラボレーションを今年、色々なところでよくやらせていただいていますが、宇宙空間の星のきらめきと、宝石がかちあう音のイメージが重なりました。今日は、この後、スゴイ宇宙の映像が出るそうなので、10人分の私の声と一緒に聴いていただきたいです。

縣:「約束の星」は?

清田:私は「ハル」という猫を飼っていたんですが、今年の2月に突然、亡くなってしまって・・・。ハルちゃんはいつも私が歌うと逃げてしまったのですが、今日は逃げまいと思って、ハルちゃんが眠っている横で1曲プレゼントしたいと思って作りました。でも、あまりにも悲しすぎて歌えなくて、それが、春になって暖かくなってから、「ありがとう」という気持ちが強くなって歌えるようになりました。「約束の星」というタイトルにしたのは、よく、死んだら星になる、って言うじゃないですか。ハルちゃんが、たくさんある星のどれか1個になっていてくれたらいいな、という思いを込めてつくりました。

縣:これは今日のメインですから、ぜひ楽しんでいただければと思いますが、清田さんに2曲歌っていただいている間に、私の方は、4次元デジタル宇宙プロジェクトの映像をお見せします。今、メガネが配られていると思いますが、今日は何と初めて、飲みながら(笑)!さらにこのすばらしい生演奏を聴きながら!やります。どうぞ酔っ払ってください。(笑)

上手く曲に合うといいんですけど・・・とにかくリハーサルをしていませんから、ぶっつけ本番です。私の方が最初は、太陽系から始まって銀河系くらいまでの旅を中心に・・・今日参加している、加藤恒彦さんが作った「Mitaka」を中心にやります。では、皆さん、メガネをかけてください。

〔レイロゥの演奏〕

清田:次の「約束の星」は、1番は生のオルゴールの伴奏で歌います。

縣:清田さんが1曲歌っている間に、みんな宇宙の果てまできてしまいました。

清田:今度は地球に戻るんですか?

縣:はい、地球に戻りながら、今度は時間のある限りムービーを見てもらいます。何分くらいですか?

清田:4分・・・・

縣:はい、分かりました、では4分で!(笑)

清田:では、皆さんの大事なひとのことを想いながら、聴いていただければと思います。

〔約束の星の演奏〕

4Dとレイロウ





宇宙はふるさと〜質問タイム

縣:清田さんの音楽と初めてコラボレイトして・・・音楽と一緒にやること自体が初めてだったんですけど、私の感想としては、無機質な宇宙に、生命・・・命が含まれているような印象を受けました。映像では、宇宙の中で、星が生まれるところが出ていたんですけれど、この星の中で、生命が、私たちのいのちが生まれてきたんだ、私たちのふるさとは遡れば宇宙だって言うことを伝えたかったんですけど・・・・(笑・拍手)

石川:ありがとうございました。縣の方はまだ、喋り足りないようですが(笑)時間もだいぶ押してますし、お料理も並んでいますので、質問を2つくらいお受けしたいと思います。受付でお配りした質問カードにお書き下さい。

清田さんに質問です。月の満ち欠けは人に様々な影響があると言われていますが、満月や新月の時によって、詩や曲が変わることがありますか?という、ちょっと神秘的な質問ですが?

清田:そうですね・・・すごく細い月を見たりすると、ちょっと不安になるというか、さみしくなったり、満月だと安心します。夜まっくらだとやっぱり不安なのでちょっとでも明るいと、すごく安心しますよね。

縣:ちなみに、宇宙とか星とかに関連する曲は何曲くらいあるんですか?

清田:数えてないですけど・・・半分以上はそうなんじゃないでしょうか?

石川:清田さんへの質問が多いんですけど・・・(笑)

縣:僕はいいですよ!(笑)僕はだいたい毎回、来ますから。

石川:では、清田さんにもう1つ質問です。一番、星空が美しいと思った時はいつですか。また、どういう曲が浮かんできましたか?

清田:先月の、11月24日の星空って皆さん眺めました?憶えていらっしゃいますか?もの凄かったです。この冬の中でも一番じゃないでしょうか。ちょうど、私の今度のアルバムが出た日で、地元に帰ってコンサートした後に空を見上げたんです。東京出身のメンバーが多いので、みんな空を見て「うわっ、気持ち悪い!」って言ったくらい星がたくさんありました。そのときは、オリオンが星雲までぼわっと肉眼で見えたくらいで・・・。

縣:僕、その日、たまたま田舎にいました。八坂にいた。ホントにきれいだったよね。

清田:本当にきれいな星空だったんですけど、それを、大好きな人たちに見てもらえて、一緒に見られた、というのが嬉しかったので、曲にしたいな、と思いました。

石川:ちなみに縣さんが一番、星がきれいだな〜と思ったのはいつですか?もう、長く生きすぎてて、難しいですか?

縣:はい、一言で言うのは難しいので、また後で・・・(笑)

石川:では最後に縣さんに、すごく難しい質問が来ています。
NASAが発表した「暗黒エネルギー」って何ですか?そもそも宇宙空間って何でできているんでしょう?地球だと空気や水で空間が埋まっていますが、星と星の間は何で埋まっているのでしょう?ビックバンから広がり続けている宇宙の外側には何があるのでしょうか?・・・たぶん、今の4Dを観てのご質問だと思います。

縣:この質問、とても難しいですが、ダークエネルギ−ってまだ何だかわかっていないんです。前々回に杉山直さんが話をしましたが、宇宙背景放射を詳しく観測した衛星がありまして、今から3年前ですけれど、その結果、私たちが宇宙で見ている星とか塵とかはせいぜい4パーセントに過ぎない。残りの4割くらいがダークマターという物質で質量がある。その残りはダークエネルギーで宇宙の大半を占めているのですが、何だか分かっていません。杉山さんに言わせれば、要は宇宙を膨張させているエネルギーだと思えばいいそうです。それに対してダークマターは、重力でものを引っ張る力が働いている。ダークマターについてもまだ分かっていませんが、それが何なのかという候補がいくつか挙がっています。でも、ダークエネルギーについては、さっぱり、全く、誰に聞いてもわかっていない。それから何だっけ・・・?

石川:宇宙空間の星と星の間は何で埋まっているのでしょうか?

地球縣:さっきの映像で言うと、太陽系の中には分子とか塵がけっこうあります。その外の星の世界にも、密度は薄いですが物質があります。銀河系の外側は希薄で、ほとんど何もないですが、最近の「あかり」の観測結果などによると、激しい活動をしている銀河の近くには水素ガスなどがあるようですが、まあ、ほとんど何もないと思っていいでしょう。

石川:まだご質問のある方は、この後のパブタイムでお2人に直接お聞きしてください。
どうもありがとうございました。


 
縣さん、清田さん、石川さん


すばる

2006-12-16