講座詳細

数学の夕べ 8月
「モジュラー形式と楕円曲線」

B2152800.pdf

講座趣旨

国際基督教大学 寄付講座
“数学の夕べ”

 数学は新たな視点を加えながら現在も発展を続けています。特に近代以降の数学から数多くの興味深いトピックが生まれました。容易にはアクセスできず、知られていないものも多くあります。
 近年は、数学についての啓発的な書物も多く出版され、三鷹ネットワーク大学で開講する小林一章先生の講座を含め、興味深いトピックがより深く取り上げられる機会も増えています。
 本講座では、そのような興味深いトピックの中から一つ選んで、数学の視点や発展の様子などを紹介していきたいと思います。講座の中で、必要な予備知識も出来るだけ説明する予定です。

※講座の開催時間が通常と異なりますので、ご注意ください。

講座概要

講座日程 2021年 8月26日 (木)
時間 18:30〜20:00
定員 20 人 (先着制)
回数 1回
受講料 500 円
難易度 ★★☆
会 場 三鷹ネットワーク大学
受付期間 7月20日(火)午前9時30分から8月25日(水)閉館まで

※スクロールしてご確認ください→

日程 開催時間 会場 担当講師 内容
第1回
8月26日
18時30分〜20時00分 三鷹ネットワーク大学 清水 勇二 モジュラー形式と楕円曲線
 昨年の数学の夕べで話題としたラマヌジャンの関数Δ(τ)やモックテータ関数は、モジュラー形式またはその親類であった。モジュラー形式は数論や代数幾何学において頻に登場する。
 モジュラー形式とは(Im(τ)>0を満たす)変数τの正則関数 f(τ)で、(a,b,c,dは整数で ad-bc=1を満たす)一次分数変換 τ→ (aτ+b)/(cτ+d)=τ'について f(τ')=(cτ+d)^k f(τ) を満たすものである。モジュラーとはモジュライの形容詞だが、ここのモジュライは楕円曲線の同型類を指定する一種の変数(量)であり、楕円関数とのつながりが深い。τ=i∞で値0を取るモジュラー形式をカスプ形式というが、カスプ形式の定めるL 関数はリーマンのゼータ関数、ディリクレL関数の親類であり、ヘッケ作用素の同時固有関数でもあり、フェルマーの最終定理の証明の核にある谷山- 志村予想で登場する。
 今回はモジュラー形式を基本性質や例を通じて見て行き、谷山-志村予想に向けた道筋の雰囲気を伝えるように試みる。

講師

清水 勇二(しみず ゆうじ) 国際基督教大学 教授
 東京生まれ。東京大学理学部卒業。東北大学、京都大学を経て、2000年から国際基督教大学に在職。現在、教養学部教授。専門は代数幾何学、特にホッジ理論で、リーマン面のモジュライの共形場理論への応用も研究している。
 著書に、『複素構造の変形と周期』(岩波書店、上野健爾氏と共著)、『基礎と応用 ベクトル解析』(サイエンス社)、『圏と加群』(朝倉書店)、翻訳に『数え上げ幾何と弦理論』(S.カッツ著、日本評論社)がある。

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